人材の育成・活用
価値創造の起点として、人材の幸福度を追求
創業以来一貫して従業員を貴重な財産と捉えてきた当社グループは、「事業の原点は、常に「人」であることを忘れてはならない」とする「人財活用方針」のもと、人材一人ひとりの「幸福度の追求」を起点に、幸福度にあふれる豊かな未来社会の実現を目指しています。その一環としてかねて注力してきた従業員エンゲージメント向上への取組みにおいては、2019年に実施したエンゲージメント調査の結果等を踏まえ、従業員が「自らの成長」と「業績への貢献」の双方を実感できる会社を目指した人事制度改革を進め、2022年1月より新人事制度をスタートしました。新制度においては従来の「目標管理制度」から、果たすべき「期待役割」の大きさとそれに応じた成果を重視する「役割等級制度」へ移行するとともに、等級在任中の評価ポイントの累計を昇格対象者基準とするなど、公平・公正でメリハリのある処遇・昇格制度を導入しています。また、人材一人ひとりの専門性を活かすべく職種ごとの専門職制度を整備し、専門職の上位職を役員同等に処遇する「エグゼクティブフェロー制度」に加え、従業員における専門職の最高位として「フェロー職」「SP職」を新設するなど、職務コースの多様化も進展させました。
導入後1年超経過した現時点における成果として、「期待役割」を人材一人ひとりが明確に意識しながら業務遂行できるようになった一方、新制度への理解不足が見受けられることから、今後は管理職など評価者向けの訓練を定期的に実施することで現場への説明能力を高め、新制度のさらなる浸透を図ります。当社グループは、新人事制度におけるこれら一連の施策によって人材の幸福度を高め、人材一人ひとりの高いパフォーマンスを促進することで高い付加価値を創出し、さらなる企業価値向上へとつなげていきます。
人財活用方針TOKグループとして創業以来一貫してTOKグループの従業員などを貴重な財産と捉え、遵守してきた「人材こそ企業の財産」を踏襲した5つの方針から構成されています。
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従業員エンゲージメントの向上に経営陣がコミット
2022年からは中長期の業績連動役員報酬制度のKPIの1つとして「従業員エンゲージメント指標」を追加し、従業員施策に対する取締役会の関与とモニタリングを強化することで、サステナビリティ・ガバナンスを効かせています。トップ自らの強い意思で導入した同スキームのもと、経営陣は「社員エンゲージメント」と「社員を活かす環境」の2つの指標の向上を目指しています。2021年10月のエンゲージメント調査において前者はグローバルレベルで競争力を有する水準であった一方、後者は相対的に改善の余地があったことから、KPI目標として「社員エンゲージメント」3ポイント、「社員を活かす環境」7ポイント向上を掲げ、達成に向けた諸施策を推進しています。2022年12月期は、各本部や子会社で以下の施策に取り組みました。
❶教育・研修機会の拡充
❷ 部署間・本部間の壁を取り除くための人事ローテーション等の実施
❸ チャレンジを促す評価制度として、減点方式ではなく加点方式の採用
❹ キャリアプランとしてSelf-Career Dock支援策の実施準備
❺ 上司・部下のコミュニケーション強化による信頼関係の構築
❻革新的な業務推進法の導入
❼ 成功体験の構築に向けた「誉めること」や「小さな成功体験」の積み重ね
❽ 採用強化による人的リソース増強
また、取締役会では引き続き「従業員エンゲージメント」「カーボンニュートラル」「リスクマネジメント」等のサステナビリティ課題への執行サイドの取組みをモニタリングする一方、2022年6月からは取締役、執行役員、関係部署長で構成する「取締役協議会」の運営を開始し、ESG/サステナビリティ関連を含む広範な経営課題について自由闊達に議論し、取締役会での意思決定へとつなげています。
ダイバーシティ&インクルージョン
「 女性人材のさらなる活躍」
「外国籍人材のさらなる活用」に向けて
事業環境における機会とリスクの双方が極大化するなか、今後も当社グループがパーパス「社会の期待に化学で応える」を実践し続けていくためには、多様な見識や価値感、専門性を活かしたイノベーションの創出やリスク対応が必須となることから、「ダイバーシティ&インクルージョン」の方針を今後も堅持し、積極的な「女性人材のさらなる活躍」「外国籍人材活用のさらなる進化」に注力します。
2022年12月期の「女性管理職比率」および「全従業員における女性比率」は、これまでの女性人材の採用・定着・管理職への登用の取組みが結実し、いずれも過去最高となったほか、「男女間の平均勤続年数の差」についても過去最小となりました。今後は個々の女性従業員だけでなく所属部署や上司への啓蒙を強化するなど、さらなる女性活躍へ向けた風土づくりを拡充していきます。
外国籍人材のさらなる活用に向けては、現地の開発/生産拠点の拡大や実力本位の採用に注力してきた結果、外国籍従業員数、外国籍従業員比率とも一貫して上昇傾向にあり、マテリアリティのKPIの1つである「海外管理職の現地化比率」も過去最高の56.2%となりました。海外売上高の拡大に伴い今後もこの傾向は続く見込みであるほか、国籍を超えた知見・価値観のシナジー創出に向けて数年来取り組んできたグループ間の人材交流を、さらに拡充していく構えです。
*「統合レポート2021」において、2021年の利用者数に誤りがあったため、修正して掲載しています
女性従業員の参画に関する指標*1
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022/12 | |
---|---|---|---|---|---|
新卒採用における女性比率(%) | 43.3 | 39.4 | 38.5 | 17 | 26.4 |
全従業員における女性比率(%) | 12.3 | 13 | 13.7 | 14 | 14.6 |
男女間の平均勤続年数の差(年) | 9.2 | 9.3 | 9.1 | 8.4 | 8.1 |
管理職における女性比率(%) | 2.4 | 3.3 | 3.2 | 3.8 | 4.0 |
取締役会における女性比率(%)*2 | 8.3 | 7.7 | 7.7 | 7.1 | 10.0*2 |
*1 単体(従業員数には、当社から当社外への出向者および嘱託者を含めず、当社外から当社への出向者を含んでいます)
*2 取締役会における女性比率は2022年時点。過去3年の低下要因は、独立取締役が2020年に1名、2022年に1名それぞれ増員したことによるものです。
男女間賃金の差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)*1
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022/12 | |
---|---|---|---|---|---|
全労働者(単体)(%) | 47.8 | 49.7 | 59.1 | 65.5 | 65.4 |
うち正社員*2 (%) |
65.3 | 65.5 | 67.4 | 69.4 | 68.2 |
うち有期社員*3 (%) |
31.5 | 33.9 | 49.8 | 60.4 | 61.5 |
*1 賃金:基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除く
*2 正社員:出向者については、当社から社外への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む
*3 有期社員:嘱託を含み、派遣社員を除く
差異についての補足説明: 差異が生じている理由としまして、管理職における女性比率が低いことや、女性の新卒採用を強化した結果、相対的に賃金水準の低い女性労働者が多く在籍していることなどがあげられます。今後はマテリアリティのKPI目標として設定した「女性管理職比率の向上:2030年までに2倍(2020年比)」の達成を目指し、女性の管理職登用を推進していきます。 |
外国籍従業員数
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022/12 | |
---|---|---|---|---|---|
外国籍従業員 (単体) |
11 | 16 | 18 | 18 | 24 |
外国籍従業員数 (連結) |
378 | 412 | 424 | 476 | 524 |
外国籍従業員比率(連結)(%) | 22.6 | 23.9 | 24.2 | 26.2 | 26.9 |
障がい者雇用率
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022/12 | |
---|---|---|---|---|---|
障がい者雇用率 (単体)(%) |
2.36 | 2.37 | 2.67 | 2.45 | 2.42 |
中途採用者比率*
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022/12 | |
---|---|---|---|---|---|
中途採用者比率 |
40 | 44 | 39 | 36 | 61 |
*労働施策総合推進法に基づく中途採用比率の公表
ワーク・ライフ・バランスの推進
育児休職制度については、女性の取得率が100%であるのに対し男性の取得が少ないことが課題でしたが、近年では男性取得者が増加傾向にあります。2022年12月期の取得者は前年比1.5倍の12名に増加し、同取得率は57%となりました。今後は、男性育児休職取得率30%以上の維持を目標としていきます。ワークスタイルの多様化を支援する環境整備を推進し、各種制度の検討と導入に取り組んでいます。「次世代育成支援対策推進法」に基づく行動計画を策定し、従業員が仕事と家庭の両立ができるよう、より働きやすい職場づくりに取り組んだ成果が認められ、2012年に「くるみん」(次世代育成支援マーク)を取得しています。育児休職制度については、女性の取得率が100%であるのに対し男性の取得が少ないことが課題でしたが、近年では男性取得者が増加傾向にあり、今後は、男性育児休職取得率30%以上の維持を目標としていきます。
育児関連制度利用者数*1
2018 | 2019 | 2020 | 2021*2 | 2022/12 | |
---|---|---|---|---|---|
育児休職制度(人) | 12 | 16 | 19 | 27 | 31 |
(うち男性) | (1) | (1) | (5) | (11) | (17) |
育児短時間勤務(人) | 6 | 13 | 12 | 18 | 15 |
チャイルドケアタイム*3(人) | 13 | 16 | 16 | 10 | 12 |
*1 単体(従業員数には、当社から当社外への出向者および嘱託者を含めず、当社外から当社への出向者を含んでいます)
*2「統合レポート2021」において、2021年の利用者数に誤りがあったため、修正して掲載しています。
*3 育児のためのフレックス制度
男性育児休職取得率*
2020 | 2021 | 2022/12 | |
---|---|---|---|
取得率(%) |
20.0 | 33.3 | 57.1 |
* 単体(従業員数には、当社から当社外への出向者および嘱託者を含めず、当社外から当社への出向者を含んでいます)
労働組合との関わり
東京応化工業労働組合は1976年に結成され、UAゼンセンに所属しています。同労働組合と当社はユニオン・ショップ協定を結んでいます。2021年12月末において、当社に属する同労働組合員数は1,160名であり、当社従業員の79.3%が労働組合に加入しています。労使関係は労働組合結成当初から「労使協調」路線を継続して良好な関係にあり、2ヵ月に1回の頻度で中央労使協議会を開き、経営環境や労使の課題などについて意見交換を行っています。その中で労働条件や職場環境の整備など労働安全衛生を含む様々な労働協約を締結しており、業務上の勤務形態などの変更を実施する場合には事前に労働組合と協議しながら進めています。2020年12月期に新人事制度や再雇用制度等の労使協議の場として「労使検討会」を立ち上げ、2022年12月期は定年年齢の取扱いに関する検討をテーマに据えた議論を行いました。