水リスクに対する取組み

グローバルなサステナビリティ課題として水資源への注目度が増す一方、当社グループの製品および製造工程において「水」は欠かすことができない大切な原料であることから、生産活動による水消費を必要最小限に抑制し、排出水質の維持・向上を図っています。今後もマテリアリティ「将来世代を見据えた地球環境の保全」のもと、水リスクを注視しながら、事業活動を通じた環境貢献に努めていきます。

水消費量の推移

用水の使用量は製品工程の変更や生産量の増減等により変動しますが、当社は、工業用水や市水の異常使用のモニタリングを常時行っているほか、各設備の見直しなどを実施し、使用量の削減に取り組んでいます。
2022年は、国内の用水使用量は447千m3になり、前年比21.8%増加、2019年比22.1%増加となりました。海外拠点では、用水使用量は前年比110千m3減少の238千m3となりました。国内の水使用量が増加したものの、生産量の増加および海外での水使用量を抑えられたことで、原単位指数(国内外合計)は前年比4ポイント減少しました。

国内拠点の用水使用量

△2019年比22%増加 447千m3

 

国内・海外拠点の水消費量の推移.PNG

「水リスク」への対応

水資源を含む「自然資源リスク」は、「グローバルリスク報告書2023(世界経済フォーラム)」における「今後10年間で最も深刻なリスク」でトップ10にランキングされています。そうした中、当社グループは国内外全拠点の用水使用量を把握し、水供給、原材料供給、製造工程、工場排水の各段階におけるリスクを明確化し、自然災害による取水制限および浸水リスク、水の汚染による事業停止リスクのほか、当社のサプライチェーンにおける水リスクについての対応を検討しています。

当社は、WWF Water Risk Filter*を活用し、当社グループ生産拠点が所在する各地域における水ストレスを調査しました。その結果、該当地域はありませんでしたが、2022年に台湾で発生した水不足など一過性リスクは今後も発生する可能性が高いことから、BCP施策を強化していきます。

※Water Risk Filter:世界自然保護基金(WWF)とドイツ投資開発会社(DEG)により開発された水リスク評価用データベース

中長期目標を設定

当社は水リスクの低減について2018年より積極的に取り組み始め、2019年からは全社目標を掲げ達成に向けて注力してきました。

2022年は、各拠点で配管、設備等の汚染リスクの低減活動や水使用の運用方法、自然災害リスクの低減に向けた対策等を検討し、計画に沿った活動を展開しました。その一環として郡山工場においては、将来的には純水のセントラル供給によって水使用量を削減することを目的に、純水製造時の歩留りの高い装置を新設しました。

今後も、2030年までに2019年比で国内水使用量を15%削減するという中長期目標の達成に向けて、各種リスクの低減活動に取り組んでいきます。

 

今後の課題と取組み

当社は熊本県阿蘇市に工場を有し、2022年より、阿蘇地域の水源涵養にもつながる森林保全活動に参加しています。また、気候変動が水資源に与える「水ストレス」の影響が危惧されていますが、将来的に当社グループの操業地域において取水制限や排出制限等の規制強化が行われた場合、当社グループ工場における水使用にも影響がおよぶ可能性があります。

今後も環境負荷の低減という観点だけでなく、事業継続の観点からも、水の循環利用等による使用量の削減や汚染リスクの低減に努めていきます。

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