温室効果ガス排出量の削減

当社グループは、新マテリアリティ「豊かな未来を見据えた地球環境への貢献」のもと、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、バリューチェーンで排出されるCO2をはじめとする環境負荷量を定量的に把握し、生産活動が環境に与える影響を充分に認識することで、環境負荷低減に取り組んでいます。また、さらなる省資源・省エネルギーに貢献するフォトレジストや新製品の開発を進めることにより、社会とともに持続可能な発展を目指します。

基本的な考え方

当社は一般社団法人日本化学工業協会に所属しています。化学業界では1997年度から2012年度まで経団連の「環境自主行動計画」に参画し、省エネルギーを推進し、CO2排出を抑制する活動を継続してきました。2013年度からは、経団連の「カーボンニュートラル行動計画(旧名:低炭素社会実行計画)」に参画し、(1) 国内事業活動からのCO2排出抑制、(2) 低炭素製品・技術の普及によるサプライチェーン全体でのCO2排出抑制を進める主体間連携の強化、(3) 日本の化学製品・プロセスの海外展開による国際貢献、(4) 中長期的な技術開発である革新的技術の開発の4本柱で地球温暖化対策を進めています。当社も「カーボンニュートラル行動計画」に基づき、バリューチェーンで排出される影響も含め、生産活動が環境に与える影響を十分に認識することにより、環境負荷低減活動に取り組んでいます。

1940年の設立以来、経営埋念のひとつに「社会への貢献」を据えて事業活動を行ってきた当社は、マテリアリティ「豊かな未来を見据えた地球環境への貢献」において、「脱炭素」に向けた気候変動問題への対応に取り組んでいます。2020年に策定した長期ビジョン「tok Vision 2030」においては、新経営ビジョンとして「豊かな未来、社会の期待に化学で応える “The e-Material Global CompanyTM”」を設定し、「社会的重要課題への持続的な取組み」を経営戦略に掲げています。

2022年1月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、TCFD)」の提言について賛同を表明しました。今後も、TCFD提言への賛同に基づき、気候変動が事業に与えるリスクや機会の分析を行い、積極的な情報開示に努め、当社グループに関わる全てのステークホルダーの皆様とともに、当社グループの事業を通じて地球環境の保全に貢献してまいります。

温室効果ガス排出量 ― スコープ1、2、および3

近年の気候変動問題の深刻化に伴い、企業には自社の温室効果ガス排出量に留まらず、バリューチェーン全体における排出量を把握することが求められています。当社では、温室効果ガスの排出量算定に関する環境省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」などを参考に、事業活動による排出(スコープ1、スコープ2)と、自社の事業活動範囲外での間接的排出(スコープ3)について把握、算定しています。また、2021年より、海外拠点におけるスコープ1、スコープ2の算出も開始しました。今後も企業活動が与える影響をバリューチェーン全体で捉えることで課題を認識し、持続可能な社会の実現に向けた取組みを推進していきます。

スコープ1

10,581t-COe スコープ2 161t-COe
スコープ1(海外合計) 3,069t-COe スコープ2(海外合計) 15,113t-COe

スコープ3排出量(国内合計)

Cat. (カテゴリー ) 名称 排出量
Cat.1 購入した製品・サービス 446,965t-COe
Cat.2 資本財 61,705t-COe
Cat.3 スコープ1、2に含まれない 燃料およびエネルギー関連活動 6,121t-COe
Cat.4 輸送、配送(上流) 18,259t-COe
Cat.5 事業から出る廃棄物 5,942t-COe
Cat.6 出張 194t-COe
Cat.7 雇用者の通勤 696t-COe
Cat. (カテゴリー ) 名称 排出量
Cat.8 リース資産(上流) 85t-COe
Cat.9 輸送、配送(下流) 該当なし
Cat.10 販売した製品の加工 該当なし
Cat.11 販売した製品の使用 算出しておりません
Cat.12 販売した製品の廃棄 算出しておりません
Cat.13 リース資産 (下流) 該当なし
Cat.14 フランチャイズ 該当なし
Cat.15 投資 算出しておりません

※2024年1月~2024年12月
※出張、雇用者の通勤に出向者は含んでおりません。

2024年の主な取組み、今後の重点施策等

2024年は阿蘇くまもとサイトの竣工などエネルギー増加要因もありましたが、エネルギー高効率設備への更新、太陽光パネルの設置、照明LED化など電力消費効率化を図ることで、国内拠点のエネルギー消費原単位は前年比5ポイントの減少となりました。

エネルギー起源CO2排出量については2021年に国内拠点で再生可能エネルギー由来の電力の導入を開始、2023年には国内主要全拠点での切り替えが完了したこともあり、2023年時点で2019年比37.6%削減を実現しています。海外拠点においても、地球温暖化防止に向けたエネルギー利用の効率化を目的とした太陽光パネルの設置など、CO2排出量の削減に向け積極的に取組みを進めています。

また、物流部門では当社製品を安全・正確に保管・輸送し国内外のお客様にお届けするという使命のもと、近年は原材料の在庫管理を含む倉庫運用の拡充に取り組んできました。さらに、荷扱い量が増加する中で物流による環境負荷を低減しつつ当社全体の物流最適化を図るため、各工場と連携した鉄道コンテナの利用や海上輸送などモーダルシフトによるCO2排出量の削減を検討しています。加えて、流通センターでは太陽光パネルの設置(2025年)をはじめとした省エネルギー対策を進めており、物流網全体の環境負荷低減に取り組んでいます。

今後も当社グループは2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、国内外のさらなる省エネ施策および再生可能エネルギーの導入などのCO2排出量削減への取組みや、環境関連データ収集システムの海外拠点への展開による一元管理を進め、グループ一体となった活動を進めていきます。

 

指標と目標_スクリーンショット 2025-09-08 142541.png
エネルギー使用量_スクリーンショット 2025-09-08 142621.pngCO2_スクリーンショット 2025-09-08 142705.png物流_スクリーンショット 2025-09-08 142752.png

拠点別環境負荷データ  

※集計期間:2024年1月~12月

  項目 本社

TTIC

郡山 宇都宮 熊谷 御殿場 阿蘇 流通 総計
使用量 電力[千kWh] 628 18,182 17,662 2,966 74 5,466 5,592 1,352 51,922
重油[kL] 0 0 74 0 1 0 268 0 343
都市ガス[千m3] 8 2,848 1,268 153 0 308 0 0 4,585
ガソリン[kL] 1 1 1 0 0 0 1 0 4
LPG[t] 0 0 0 2 4 4 2 27 39
軽油[kL] 0 1 22 0 0 0 8 8 39
用水[千m3] 4 98 176 15 2 44 90 3 432
排出量 CO[千t] 0 6 3 0 0 1 1 0 11
SOx[t] 0 0 0 0 0 0 0 0 0
NOx[t] 0 0 0 0 0 0 0 0 0
BOD[kg] 0 0 240 16 0 66 49 0 371
COD[kg] 0 0 505 39 0 109 97 0 750
廃棄物量 事務系一般廃棄物[t] 13 2 4 4 1 4 3 1,318 1,349
普通産業廃棄物[t] 4 125 262 96 1 520 502 51 1,561
特別管理産業廃棄物[t] 0 46 548 143 1 1,492 884 111 3,225
再資源化率 普通産業廃棄物[%] 0 42 33 12 100 2 66 0 -
特別管理産業廃棄物[%] 0 65 100 100 0 79 80 0 -

※「流通」には、各SPのデータが含まれています。

※「TTIC」には、湘南サテライトラボ、大阪サテライトラボ、湘南事業所が含まれています。

※「阿蘇」には、阿蘇くまもとサイトが含まれています。

※事務系一般廃棄物:事業所などから排出される産業廃棄物以外の不要物(いわゆるオフィスごみなど)。
※普通産業廃棄物:産業廃棄物のうち、特別管理産業廃棄物以外のもの(産業廃棄物とは事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類など)。
※特別管理産業廃棄物:産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性などの理由によって特に管理が必要とされるもの。

今後の課題と取組み

社会や生活に大きな被害をもたらしている近年の大型台風や集中豪雨といった気候変動は、海洋の変動や太陽活動の変化のほか、温室効果ガスによる地球温暖化や、発電所等からの温排水による海水温の上昇に起因するとも考えられています。当社グループは、このたび設定した2050年スコープ1、2のカーボンニュートラル達成に向けて、各種CO₂排出削減策と省エネ活動を着実に実行することで、この課題に取り組んでいきます。

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