環境貢献技術

環境貢献技術

社会的インパクトの創出に貢献

足元で進む5Gの普及や次世代規格6Gによる通信革命が創出する様々な社会的インパクトは半導体の進化が支えているほか、人類が克服すべき社会的課題であるカーボンニュートラルへのチャレンジにおいても、異次元の規模へと成長を始めた半導体が大きく貢献するものと考えます。
当社グループはイノベーションに資する製品を展開することで、豊かな未来の実現に向けた社会的インパクトの創出に貢献していきます。 

社会的課題( 例) ソリューション&バリューチェーン 期待できる
社会的インパクト
データセンターの激増に伴う電力消費量増加 【東京応化】
EUV用フォトレジストの開発・提供

【半導体メーカー&デバイスメーカー】
ロジック半導体1 演算あたり消費電力の低下
データサーバーの低消費電力化
世界の消費電力量の
0.3%程度*1
を削減(2030 年予想)
再生エネルギーシステムの効率改善 【東京応化】
次世代パワー半導体向けフォトレジストの
開発・提供

【半導体メーカー&デバイスメーカー】
次世代パワー半導体の進化/量産
EVや風力/水力発電システムの効率改善
世界の消費電力量の
0.4%程度*2
を削減(2030 年予想)

*1「データセンターサーバーの消費電力量」「ムーアの法則の継続効果」をキーファクターとして試算。
ハイエンドロジック半導体の用途としてデータセンターのみを対象とし、DC以外に設置されたサーバーやラップトップPCを除外

*2 「風力/太陽光発電およびEV、データセンターの消費電力量」と「SiC、GaN等による次世代パワー半導体の普及」を
キーファクターとして試算。鉄道車両、商用車等は対象に含まず

脱炭素/カーボンニュートラルに貢献する
パワー半導体向け材料への取組みを強化

足元の最先端かつ最大の社会的課題の1つである脱炭素/カーボンニュートラルへの取組みにおいては、各国推計で今後約10年間に500兆円弱の投資が計画されている*1ほか、国内外の金融機関の有志連合「GFANZ*2」は今後約30年間で約1.1京円(100兆ドル)の投融資を計画するなど、世界中の企業やビジネスの力による課題解決に、大きな期待が寄せられています。そうした中、風力/太陽光発電などの再生エネルギーシステムやスマートグリッドによる効率的な送電・電力供給のほか、EV/HEVや省エネ家電等の心臓部を担うパワー半導体の市場規模は、今後さらに拡大していくことが予想されています。

※1 出典:JEITA半導体部会「国際競争力強化を実現するための半導体戦略」
※2 GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero):2021年に英国・グラスゴーで開催されたCOP26において正式に発足した、世界450社以上からなる金融機関連合

半導体産業の異次元の成長トリガーの1つ―パワー半導体

同半導体の製造に欠かせないg/i線用フォトレジストで世界No.1のシェアを有し、連結売上高の7~10%弱を安定的に計上している東京応化は、現在、パワー半導体の市場成長に応えるべくフル稼働での量産を続けているほか、「tok中期計画2024」では、生産工場の設備増強やさらなる効率化(自動化/機械化)、製造/検査/倉庫設備の更新に向けて、大規模設備投資を進めています。

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出典:
Status of the Power Electronics Industry 2021 report,
Yole Developpement, 2021

高付加価値/次世代材料の開発に注力

「1.5度目標」の達成に向けて脱炭素/カーボンニュートラルへの取組みを着実に前進させるには、パワー半導体のさらなる進化と性能向上が強く求められることから、東京応化は、新たな高付加価値/次世代材料の提供/開発に注力しています。足元では当社が独自開発した化学増幅型のi線用厚膜フォトレジストが高性能パワーデバイス向けに伸長しているほか、次世代SiC(炭化ケイ素)/GaN(窒化ガリウム)/Ga2O3 (酸化ガリウム)パワー半導体向け材料の開発にも注力しています。

共有価値をロングランで創造

g/i線用フォトレジストをはじめとするパワー半導体向け材料市場はお客様の数が多く、お付き合いも長期におよぶケースが多いことから、信頼関係を長く維持することで、長期持続的成長を図ります。加えて、同レジストは塗布するレジストの量や厚みがお客様ごとに異なり、使用量も大きく異なるため、当社ならではの顧客密着戦略のもとできめ細かな対応を継続することで、脱炭素/カーボンニュートラルに向けた共有価値をロングランで創造していきます。

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「ケミカルループ反応」による社内循環型エコシステムの開発

足元における新たな取組みとして、「ケミカルループ反応」による社内循環型エコシステムの開発に注力しています。

反応に空気を用いず、超高濃度のCO2を回収

当社は、製造工程で生じた有機溶剤廃液を一部リサイクルし、燃焼・無害化したうえで排出しています。これらの廃液を空気中で通常に燃焼した場合、排ガスには燃焼に用いられなかった空気中のO2やN2が多く含まれており、CO2の含有率は約13%*にとどまることから、CO2を分離回収するには多くのエネルギーを必要とします。また、通常は空気中のN2も酸化され、火力発電所は、一般的に30~100ppm(脱硝対策後の値)のサーマルNOxを排出するとされています。
これに対し、当社が現在開発を進めている「ケミカルループ反応」を用いたシステムでは、反応に空気中の酸素は用いず、反応条件の制御/最適化によって高濃度のCO2を選択的に取り出すことが可能であり、また、反応温度が通常の燃焼反応に比べ低温であるため、サーマルNOxを極限まで抑えることが可能です。現在の実験機による検討では、CO2への変換効率95%以上、NOx値1~10ppm程度(現状での測定限界下限値)というデータが得られており、当該システムの優位性が確認できています。現在、当社内での実用化を目指し大学等研究機関との共同研究を進めているほか、その後は、当システムと連携した再エネルギー化やCO2転換等にも取り組んでいきます。

クリアすべき課題がまだ多い当システムですが、当社ならではのロングランの開発を粘り強く継続することで、「脱炭素」に貢献していく所存です。

※計算値ベース

 

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