大人は、失敗によって磨かれる。

どんな研究や開発にも失敗は付きもの。失敗を何時までも悔やんでいても、新しい発見や新製品の創出には結びつきません。ここでは、失敗に対する考え方や対処法などを、研究者と企業の経営者のそれぞれの目線から語り合います。はたして、失敗の捉え方に両者の違いはあるのでしょうか。

どんな研究や開発にも失敗は付きもの。ここでは、失敗に対する考え方や対処法などを、研究者と企業の経営者のそれぞれの目線から語り合います。はたして、失敗の捉え方に両者の違いはあるのでしょうか。

進行役

藤嶋先生の大人になってからの
失敗談がありましたら、お聞かせいただけますでしょうか。

藤嶋

「失敗談ですか?そうですねー、研究なんて失敗ばっかりですからね…。
20数年前くらいですかね、東京応化さんの事業分野に近い、
一種のレジストみたいなことをやっていたことがあるんですけれど…」

藤嶋氏

阿久津

「レジストですか?興味深いですね。」

藤嶋

「そう、レジストですよ。
あれは10の12乗ビットだったかな?
酸化還元反応と光の色をうまく組み合わせると、
超高密度な記録ができるというのを、ネイチャーに論文で投稿したんですね。」

阿久津

「ほぉ。」

藤嶋

「それで一時的に評価されまして、
世界中で研究してもらったんですが、
結局は世の中に役立つような技術にはならなかった…。
大変おもしろい原理で、特許まで認めてもらっても、
そこから発展して世の中で利用していただくまでに
到達するのはほんの一部ですからね。
そうすると、そこで終わってしまうわけで、これも1つの失敗ですかね。」

阿久津

「確かに、ある原理を応用して、
実際どうやって事業化・製品化に結びつけるかは、次元の違う話ですよね。
そういう面で見れば、研究とか開発は、失敗に終わることが多いんですね。。笑」

藤嶋

「そうです。。笑
実験は目的通りにいくことなんて、滅多にないですからね。
そのたびに、自分がいかに浅はかで思慮が足りなかったかを思い知らされます。
だから失敗はとにかく忘れる。それが一番です。。笑」

阿久津

「ビジネス的には失敗は忘れちゃダメですね。。笑
やはり反省をして、次に繋げていかないと。。笑」

進行役

阿久津社長は普段、失敗ということをどのように捉えておりますでしょうか。

阿久津

「会社として失敗ということを考えてみますと、
やはり、それは付き物と言いますか、当たり前のことなんですね。
例えばある特性が得られるようなサンプルを300種類作りますと、99%近くが失敗。
しかし残ったわずか数%のサンプルが、
お客様に評価されるということになるので、
失敗は当たり前という概念でやっていかないと、
どうしようもないわけですよね。。笑」

阿久津氏

進行役

では失敗から学んで成長していくためには、何が大切なのでしょうか。

阿久津

「私たちは、
失敗という現象や結果よりも、アプローチを重要視するようにしています。
私の考えでは、きちんと準備をせずに進めて、
結果が出なかったというのが本当の失敗。
やはりやることに対して、
どういう風にアプローチするかをしっかり吟味し、
いろんな準備や想像するなど、
そういう条件がきちんと揃っていれば、
たとえ目的通りにいかなくても、その経験を次に活かす事が出来るでしょうし、
結果はどうあれ失敗ではないという考え方です。
つまり結果はいろんなカタチで出てきてもいいのかなって、
そう思います。
そうやっていくと、良い結果が出なかった後の行動が大事であることも、
自然と理解できるようになると思いますし、
それが理解できれば、失敗を成長につなげていけると思うんですよね。」

藤嶋

「結果が出た後にどう行動するかは本当に大切ですよね。
人間というのは、ふつう物事を延長線で考えるわけです。
ところがある時、とんでもなく逸脱したことが起こりますよね。
すると不思議なもので、自分ではそれが新しいことだとは思わないんですよ。
まぁ学会で発表したとしても、そんなことはあり得ないと周りからも言われるんですが…。
でも歴史を振り返ると、そこにこそ新しい発見がある。
つまり自分でも失敗だったかな?と思うような、
延長線からズレたところに新概念の発見がある、
そういうことだと思うんですよね。」

阿久津

「自分でも失敗だと思うような、そういう思いがけない、
想像もしていないところに、新発見があるわけですね。」

藤嶋

「そう、その通りです。
何でも新しいことをすると、必ず失敗の方が早く起こるわけです。
その一部にとんでもなく逸脱したことが起こって、それが成功に繋がる。
そういうことですから、やはり失敗を恐れちゃダメですよね。
何でも挑戦してみる。やってみる。そして続ける。
それが大事だと思います。」

阿久津氏、藤嶋氏

阿久津

「そうですね、続けることは大事ですね。
失敗は付き物とさきほど言いましたが、
とはいえ常に結果が求められる、
結果を出していかなくてはならないというのがビジネスの世界であり、
プロの世界ですよね。
ですからやはり何事にも恐れず挑戦する、よくいう「胆力」、
そして諦めずに続ける「継続力」が大事なのかなと、私は思っています。」

進行役

今年は、日本で11人目となる宇宙飛行士が宇宙に旅立ちます。
最後に宇宙について、何かございましたらお話いただけませんでしょうか。

藤嶋

「東京理科大学では、去年から元宇宙飛行士の向井千秋さんに副学長に就任していただき、
宇宙教育というのを始めました。
これが文部科学省のプロジェクトに採択されまして、
高校生や大学生を募って無重力実験をやるんです。
すごい人気なんですよ。まだ新しい分野ですからね。
やることがいっぱいあって、
まさに未知の世界ですから、非常におもしろいですね。」

阿久津

「宇宙教育ですか、おもしろそうですね。
宇宙は個人的にはすごく興味があります。
でも残念ながら会社としては投資対象ではないですね。。笑」

藤嶋

「それは残念。。笑」

阿久津

「でも宇宙はまだごくわずかな人間しか行けない世界ですからね。
なにしろ国家プロジェクトですから。
長いスパンで見れば地球だっていつどうなるかなんてわかりませんし、
今の生活がずっと続くというのはあり得ないわけですから、
宇宙の可能性って重要になってきますよね。」

藤嶋

「そうですね、本当に。
今度は火星まで行くとか、そういうことですよね。
私は空気をきれいにする光触媒をやっているのですが、
今、向井さんといっしょに共同研究をやろうとしているんですよ。
向井さんも言ってましたけど、
宇宙から帰ってくると、みんなすぐ逃げるそうなんですよ。
宇宙では空間が閉じられてますから、匂いがすごいらしく、
もう臭くてどうしようもないわけです。。笑。
なので、光触媒を使用した空気をきれいにする技術を、
宇宙船にも使用できないかと考えているんです。」

藤嶋氏

阿久津

「そうでしたか。匂いがすごいんですね。
宇宙船はこれ以上ない密封空間ですし、
空気を入れ替えるわけにもいきませんからね。。笑
でも楽しみですね。
その応用は、いつか人類の命運を左右するかも知れないですね。。笑」

藤嶋理事長様

「そう、だから社長の言う「胆力」で研究を続けてですね、
いつか結果が出るようにしたいと思っていますよ。。笑」

進行役

本日はどうもありがとうございました。

子供は、好奇心によって磨かれる。

昨今、社会的な問題となっている子供の理科離れ。これを食い止めるべく、東京応化財団では科学教育の普及・啓発助成に対する支援など、様々な活動を行っています。当財団の理事長を務める藤嶋氏は、子供の頃は何に対しても興味を抱く必要があると語り、また阿久津も好奇心を持つことが想像力を養うと語ります。はたして、両者が子供のころに興味を抱いた体験とは。

昨今、社会的な問題となっている子供の理科離れ。これを食い止めるには、当財団の理事長を務める藤嶋氏は、子供の頃は何に対しても興味を抱く必要があると語り、また阿久津も好奇心を持つことが想像力を養うと語ります。はたして、両者が子供のころに興味を抱いた体験とは。

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