労働安全衛生

当社は、サプライチェーン・サステナビリティを支える「働く人」の安全と健康確保は事業活動を行う企業の社会的責任であり、全てのステークホルダーからの要請であると認識しています。また、働きやすい職場、安全な職場を提供することで、安全文化の醸成・定着、および「tok中期計画2024」の重点施策「従業員エンゲージメントの向上」の実現を目指しています。

安全衛生体制

当社は労働安全衛生活動において、各拠点の安全衛生委員会の年間活動計画を基に各種予防活動を実行しています。拠点単独では対応できない全社的な課題については、総務本部長をトップとする安全衛生連絡会で検討し、拠点を越えた水平展開が必要な施策の実施状況についても情報を共有しています。このような組織体制のもと、化学物質による薬傷災害や発火事故、機械や重量物による重篤な災害の予防に取り組んでいるほか、万が一労働災害が発生した場合の徹底した安全対策および労働衛生対策の実施とその水平展開を進めています。

労働安全衛生方針

TOK グループは、事業活動を行う上で働く人※の安全確保および健康保持を最優先事項と位置づけ、職場環境における事故・災害・疾病の防止を推進し、安全文化の醸成を図ります。

働く人:TOK グループ作業環境下で労務提供を行う社内外のすべての人

  • 各国・地域における労働安全衛生関係諸法令を遵守します。
  • 危険性、有害性の事前評価を行ない、リスクの低減を図ります。
  • 働く人に対し、必要かつ充分な教育訓練を実施します。
  • 事故・災害等の不測の事態が発生した場合でも、被害を最小限にとどめることを目的とした、保安・防災体制の強化に努めます。
  • 適切な経営資源を投入し、効果的な改善を継続的に実施します。

ISO45001認証の取得

近年、ステークホルダーからCSRに関するご質問、ご要望を受けるケースが増えてきています。当社もCSR方針を策定し、その1要素である労働安全衛生パートに関するマネジメント体制の強化を進めてきました。このような背景から、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証取得・拡大を進めており、この活動を通じ、従業員の高齢化や省人化対策、メンタルヘルス対策等も推進しています。ISO45001については、御殿場工場(2020年)、郡山工場、宇都宮工場、阿蘇工場(2021年)、本社、相模事業所(現 TOK技術革新センター)、熊谷工場(2022年)で認証を取得しました。2023年は流通センターで取得し、これにより、国内全拠点にて認証取得を完了しました。
また、当社はRBA行動規範の趣旨に沿った取組みも進めており、2021年の郡山工場でのRBA監査での最高位のプラチナ認証に引き続き、2022年は、流通センターで最高位のプラチナ認証を取得しました。引き続き、国内各拠点でのシステム構築を推進するほか、当社グループ各拠点の従業員および関係会社従業員にとって安全で働きやすい職場を作ることで、マテリアリティ「サプライチェーン・サステナビリティ」および「働く人の幸福度の向上」を実現していきます。

労働災害リスク低減活動への取組み

5S再構築による安全文化醸成
5S活動の実施状況を再確認した結果、安全文化醸成に向けては5S活動の再構築が必須であることが確認されました。このため2022年は、同活動の課題を抽出し、今後の取組み方針を決定したうえで再構築を開始しました。

重篤度の高いリスク(許容できない高リスク)の低減活動を推進
2022年は、過去に発生した挟まれ・巻き込まれ事故、薬傷災害、重量物転倒事故等を教訓に、拠点毎に重篤度の高いリスク(許容できない高リスク)の低減活動を推進し、定常作業のリスクアセスメントとともに非定常作業におけるリスクアセスメント&危険予知(RAKY)活動の強化を目指しました。特に、静電気発生リスクのある設備や作業については、「静電気対策実施手順書」に基づき、定期的に除電設備の点検を実施することで静電気リスクの低減に努めています。
また、腐食性の高い物質や毒劇物の取り扱いについては「腐食性の高い化学物質の取り扱いに関する社内指針」を適切に運用し、さらなる管理強化に取り組んでいます。

内部監査や第三者審査の意見を取り入れた改善活動を推進
労働安全、品質、環境に関する統合内部監査を行っています。他拠点の内部監査員と新規の内部監査員を積極的に起用することで、内部監査員の力量の向上や労災対策、環境汚染対策の情報共有の場として活用しています。また、外部機関による審査は、化学物質の取り扱いや静電気対策、労災対策等、第三者目線で評価や意見を頂戴できる貴重な機会として捉え、改善活動への取組みにつなげています。

労働災害防止活動

当社は、CSR方針に紐づく労働安全衛生方針を掲げ、事業活動を行ううえで働く人の安全確保および健康保持を最優先事項と位置づけ、職場環境における事故・災害・疾病の防止を推進することで、安全文化の醸成を図ってきました。特に労働災害においては、各拠点の安全衛生委員会で防止活動を展開しながら様々な要素について維持・ 向上を図ってきましたが、2022年は9件(休業災害4件、不休災害5件)の労働災害が発生し、過去数年と比較して休業災害が多い結果となりました。また、これらの原因として、非定常作業、薬傷、転倒・転落、慣れ、対応力不足、リスクアセスメント不足等があげられました。こうした労働災害の増加を受け、本年4月に社長より「労働安全非常事態宣言」を発令し、「新たな労働災害を起こさない、起こさせない」という決意を当社グループ全役員および従業員が共有し、実効性ある労働災害防止対策を行うとともに、事故や労働災害が発生した場合の緊急処置等を定めたマニュアルの整備や、計画的な従業員教育・訓練、従業員の安全意識の醸成など、 グループ全体での安全レベルの向上とリスク低減活動に注力しています。

労働災害度数率(単体)(%)

frequency_ir2022.png

度数率:100万延実労働時間あたりの労働災害による死傷者数であり、災害発生の 頻度を示す。
度数率=(労働災害による死傷者数/延実労働時間数)×1,000,000 
(労働災害による死傷者数=1日以上の休業を必要とした死傷者の数)

労働災害強度率(単体)(%)

severity_ir2022.png

※強度率:1,000延実労働時間あたりの労働損失日数であり、災害の重さの程度を示す。
強度率=(延労働損失日数/延実労働時間数)×1,000 
(延労働損失日数=労働災害による死傷者の延労働損失日数)
化学工業および製造業のデータ出典:厚生労働省「労働災害動向調査」

 

今後の課題と取組み

当社は労働安全衛生方針に基づき、各拠点でのISO45001の取得、維持拡大をする中で、労働安全衛生に対する取組みの進化を図ってきました。特に、事故や火災・爆発などの災害を想定した緊急事態時の対応訓練を強化することでさらなるリスク低減に努めています。今後も、各国・地域による法順守はもとより、「安全第一」のリスクマネジメントの強化を進めることで安全文化の基盤を強固にし、当社グループで働く全ての人たちのエンゲージメント向上につないでいきます。

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